著者 窪美澄
新たな知識を求めてこの本と出逢う。
勧められて読むことにした一冊。
『お願い、して』このセリフをどう受け止めるべきか?
当然、この一言だけではわからない。
このセリフの前にどんな物語が存在しているかが重要であり、その物語からくる、『お願い、して』をどう受け止める?
それに応え、『兄貴やおふくろと』『どんな顔して会えばいいんだおれ』こんなやりとりがある。
そうである、この話は女性1人と男性2人の話である。
そして男性2人の方の話は兄弟である。
その三角関係が繰り出す恋愛物語、それがこの話の醍醐味である。
読み初めて気づいたことは、すぐに本の世界に入り込んだと言うことである。
それぐらいのめり込む1冊だと言うことができる。
途中から本の中に入り込んで事は多々あるが、こんなにも早く世界にのめり込んでいくのはなかなか珍しい、だからこの本はお勧めされても納得のいく小説であった。
3人の思いがだんだんと明確になっていく。
その時の心境がいかに?
兄を裏切った弟、弟の思いを知りながらも奪った兄貴、両方に恋をして本当の気持ちに気づいた1人の女。
本当の気持ちに気づいた2人は早かった、早くアクションを起こした、幸せに向かって。
幸せを手に入れるために別れを選んだ。
しかしその別れに関しては自分で選んだことないのであろうか?
はたまた別れを選んでもらって幸せに導かれたのだろうか?
どう受け止めるかはその人次第である。
そして残された男の葛藤。
自分自身が求めているのは何か?
そして自分自身が逃げる場所どこなのか?
残された道は風俗しかないのか?
風俗に逃げる事しか自分自身を支えることができなかった、そのくらい追い込まれてしまった男。
それが誰なのか、誰がどのポジションに来るのか、この辺がこの小説の1つの楽しみである。
この本を読むことによってどのような心境になるのかはその人それぞれ次第である。
そして改めて考えさせられる、幸せとは何なのか?
面白いのは、3人のうち2人が幸せになって1人が不幸になることである。
これが でこそリアリティーがある。
あなたにはどんな1行が届き、どんな言葉が残りましたか?
その体温が、凍った心を溶かしていく。29歳のみひろは、同じ商店街で育った幼なじみの圭祐と一緒に暮らして2年になる。もうずっと、セックスをしていない。焦燥感で開いた心の穴に、圭祐の弟の裕太が突然飛び込んできて……。『ふがいない僕は空を見た』の感動再び! オトナ思春期な三人の複雑な気持ちが行き違う、エンタメ界最注目の作家が贈る切ない恋愛長篇。
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