2020年4月11日土曜日

「カレンの台所」「加藤清正〈下〉」


カレンの台所

滝沢カレン (著)

糸井重里 絶賛 
この人は、日本語をこわしているのではない。  
あたらしい日本語をデザインしているのだ。  


読んだら作ってみたくなる!  
言葉の魔術師・滝沢カレンが綴る、超感覚レシピ!   


Instagramで公開中の鶏の唐揚げレシピが、 
「独特すぎる」「文章が神がかっている」と話題の滝沢カレンさん。 
 
「冷たい何も知らない鶏肉」 
「お醤油を全員に気付かれるくらいの量」 
「無邪気にこんちくしょうと混ぜてください」 
「二の腕気にして触ってるくらいの力で、鶏肉をさらに最終刺激」 
 
など、分量も工程もレシピの概念を覆す表現の数々に、 
その発想はなかった! と世界観にハマる人続出中。 
 
しかも、その言葉の通りにやってみると 
感覚だけで本当に作れてしまう!  

今回本書では、新たにたっぷり書き下ろした豪華全30メニューを掲載。 
読むだけで作れてしまう新感覚レシピ本です。 
 
 
レシピとは思えないその詩的な文章は、時に食材目線にまでおよび、 
1つの料理ができあがるまでの食材たちの物語に、 
実際に作らなくても引き込まれてしまうこと間違いなし。 
 
どうぞ好きなページから開いてお楽しみください。 



以下書籍本文から

鶏の唐揚げ  
ヘルシーに見えてそうじゃない、 
高カロリーに見えてそうでもない、 
どちらも決めるのは胃袋ですってことにします。 
今回はただただ食べたい、知らない人を知らない唐揚げを久しぶりに 作ってみました。 
油物がほんとは大好きで、でも油物はカロリーやら太るやらと可哀想な扱いされがちなので、
なるべく外では油物を食べないで家で自分が作るときだけは食べていい、という決まりにしてます
(たまにはご飯屋さんでもそりゃ食べる)。 
なぜなら、やはり味付けから肉の種類、油まで全部自分で確認できるからです(こだわり強そうに見えてそこまで強いわけでもないのでご安心を)。 
誰だって熱い油は嫌いだが、口に入れる油は大好きですよね。 
私もその1人です。「油物こそ、目で見ろ、自分で作れ」と言ってるのが私で、
これは家系が続くかぎり言い伝えに残したいです。
私が家で唐揚げを作るときのお決まりをご紹介します。
唐揚げは鶏もも肉がおすすめですので、ご自分の食べたい分だけお買い上げください。
それを子どもの頃に集めたガチャガチャサイズくらいの形に切ります。
私は味が濃いのが好きなので、今から話すことは味濃いと思いながら聞いてください。
薄いのが好きな方はこれから話すよりは自分で決めてくださいね。

そうしましたら、スタートです!
まず、透明度まではいかないがスーパーでよく見かけるしもらうビニール袋を二重にします(豪快な方はジップロックなど)。
そこに冷たい何も知らない鶏肉を入れてあげます。
やれやれとボッタリくつろぐ鶏肉に、上からいくつかかけ流していきます。
まずリーダーとして先に流れるの、お醤油を全員に気づかれるくらいの量、お酒も同じく全員気づく量、
乾燥しきった粒に見える鶏ガラスープの素を、こんな量で味するか? との程度にふります。
入れすぎても入れなさすぎても、あまり変わるわけではないので気にしすぎもよくないです。
そして匂いが取り柄なにんにくすりおろしかチューブ、生姜すりおろしかチューブを、
鶏肉ひとつにアクセサリーをつけるくらいの気持ちでつけてあげてください。
あとはごま油をご褒美あげるくらいにします。
最後に気前よく塩胡椒して鶏肉への刺激は終わります。
順番は自由です。
そうしましたら開きっぱなしの入り口を柔らかく結んでください。
あとでまた開けます。
自分が二の腕気にして触ってるくらいの力で鶏肉をさらに最終刺激します。
男のみなさんは自分の力を見せない程度にしてあげてください。

うわっこりゃすごい色だ! と濃さや匂いに驚かれてる方は、
15分くらい冷蔵庫で冷やしたらもう漬けるのをやめましょう。
わぁもういい匂いだお腹すいた! と笑顔になる方は、そのまま 30 ~ 60 分冷蔵庫にて鶏肉を休ませてあげてください。
あっという間に、待たせている鶏肉を思い出す時間になります。
面白いくらいにブったりした鶏肉があるはずです。
好き好きな入れ物に片栗粉と少しの小麦粉を入れて、潤い満タンの鶏肉を一気にパサパサ雪世界にしてあげます。
あ、その前にみなさん激熱油は用意できてますか<? br> 私はたまにの油物なので、ここは贅沢御免でオリーブオイルを 170 度くらい熱々にします(飛び跳ね、指を入れるなど命かけてしないでください)。
熱々に見えなくてもそこは想像を絶する熱さです。
170 度にいきましたら、パサパサ鶏肉をおにぎりを一握りの気持ちで「いってこい」 の後押しで油へ。
すぐさま何かしらの反応を見せたら、あ、楽しくやってるな、と見過ごしてあげてください。
何の反応もしてくれなかったら一旦取り出してください。
油がまだ 170 度ではありませんそれは。
そして全体的に薄茶色になったら、一旦油取り紙(料理用)みたいの に移し、さらなる高温に油を熱くします。
180 ~ 190 度にして、懲りずにまた唐揚げを油へ沈めてください。
だんだんとキャピキャピ音が高くなってきたら、ほんとに出してくれの合図です。
しっかりここではコミュニケーションとってください。
これ以上茶色な唐揚げ見たくない! ってタイミングでもいいです。
みなさん、「何事も早くがいい」と言われても、先に190度など高温にしてしまうと
焦げたり中はまだあったまってないですから、気をつけてくださいね。
そんな鶏の唐揚げの物語でした。
安全第一で無理矢理な時は油物は控えてくださいね。
でもたまーの大量油は身体もそこまで困らないと思います。

ぜひ、よろしくお願いします。


加藤清正〈下〉
秀吉の死によって朝鮮出兵は不毛のうちに終る。清正・行長の間に根深い対立を残しただけだった。武断派と文治派を代表するその対立は、関ヶ原の勝敗を分ける決め手ともなり、世は徳川氏のものとなった。慶長16年、家康と秀頼の対面が無事終るのを見届けた清正は領国熊本でその生を終える。大阪夏の陣はその僅か4年後だった。



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