2019年7月15日月曜日

愛のあとにくるもの

愛のあとにくるもの

著者  辻仁成

新たな知識を求めてこの本と出逢う。

この物語は韓国ソウルから始まる物語である。

2006年3月15日第1刷発行ということから当時は韓流ブームだったのかもしれない。

昔は主婦層を中心に韓流ブームがすごいブームになっていた。

特に冬のソナタのペヨンジュン等はとんでもなく人気があり社会現象となっていた。

当時は日本から韓国への旅行が多く、韓国に行っても日本語が多く飛び交っていた。

特に韓国の中心街にある明洞などは、日本語で書かれた看板がたくさん飾ってあり、韓国に来た感じがなく日本人が多く歩いていたもんである。

今となっては遠い昔の話になってしまうが。

話は戻るが、この物語のスタートでいきなり胸に突き刺さる言葉が出てくる。

『あの人に会うんでしょ』

まるで波乱の幕開けのような物語のスタートである。

なぜあの時別れなければならなかったのか、そのような思いをした人たちも小説の中だけではなく実際にいるのではないかと思う。

想い出と生きる、想い出の中で生きるサマを著者の辻仁成氏はうまく連想させてくれる。

その為、読んでいると胸が苦しくなってくる、自分の事ではないのだが、自分の事のように。

これは、筆名が佐々江光という名の、青木潤吾、仇名がユノと崔紅、仇名がベニという韓国女子の2人がメインとなる話である。

『あの日、崔紅は顔を 真っ赤にして、ごめんって一言謝ればいいじゃない、と抗議した。』

『あの日、崔紅は、走る時は何も考えなくていいんだもの、と呟いた。』

『あの日、崔紅は僕を見上げて、日本人じゃないといけませんか、と片言の日本語で言った。』

『あの日、僕が差し出す傘の中で崔紅は、ねぇ、変わらない愛って信じますか、と訊いてきた。』

圧巻のあの日の文章の羅列であった。

思い出にふける男の悩みが受け取れる。

そして後に流れる音楽としてベートーベンの悲愴が想定される。

これはこの小説の中に出てくるクラシック音楽であり、おそらく著者の辻仁成氏のイメージが湧いたたのであろうと思われる。

途中途中、日本と韓国の国家間話も出てくるが、大切な事は想いを伝えると言うことではないだろうか?

孤独と言う時間、差別と言う思い、そして気持ちと気持ちのすれ違い。

人が人として生きていく上で、人が人と関わっていく上で逃れられないことかもしれない。

クライマックスはどのように受け止めるかはその人次第にはなってくるが、この小説を通して思いは言葉に伝えないと、いけないと言う事を受け取ることができると思う。

誤解と言う二文字で人生の後悔をしないために。

あなたにはどんな1行が届き、どんな言葉が残りましたか?

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