2019年7月11日木曜日

あなたのための誘拐

あなたのための誘拐

著者  知念実希人

新たな知識を求めてこの本と出逢う。

身代金目的の誘拐事件、この世の中に何件起きているのであろうかと疑問に思うことがある。

しかし現実にニュースでは誘拐事件のニュースは少ない。

本当に事件自体が起きてなければ良いが、視聴率が取れないから行動されていないのかもしれない。

そんな誘拐事件を目的とした小説がこの『あなたのための誘拐』である。

1冊の本であるが400ページ近くある。

手に取った瞬間は時間がかかりそうな感じを受けるが、読み始めたら止まらない。

数年前の誘拐事件、そして今回の誘拐事件、どのようにつながっていくのか、そして犯人が見つかりそうで見つからない展開。

読み始めたらなかなか止まらないいい物語だと思う。

唯一の欠点は、400ページと言う長編であると言うことである。

読書することが苦手な人には難しいかもしれない。

しかし本を読むことが好きな人にとっては一気に読める小説である。

いい小説とは知識がつく小説である、この小説はどのような知識がつくのであろうか?

誘拐の知識はいかがなものかと思うが、東京の地理的な知識がつくのかもしれない。

ただやはり小説というのは読む人のものであり、読む人がどのように受け止めたかが1番大切である。

読まれた方がその言葉をどのように受け止め、どのような想像をしたのか、それが読者の宝物である。

いろいろな展開を想像しながら読書していくが、いろいろな展開を想像することにより脳を動かしている。

この脳を動かすということが、我々人間にとって良いことである。

常に脳を動かして、新しい時代の扉を開けなければならない。

時計の針は止まらないのだから。

だからこそ私たちは、どのような本を読み、どのような活字を読みどのような言葉に出会えるのであろうか?

そんなことを考えながら、いろいろな本と出会ってしまう、そしていろいろな言葉と出会ってしまう、そしていろいろな活字と出逢ってしまう。

この小説は、ラストは意外な展開を味わうことができる。

ラストにわかるであろうこの題名の意味が。

ここにきてどんでん返しがと思ったが、終わった後に高揚感がある。

最後まで読みきって初めてこの小説が面白かったかどうか語ることができるであろうと思われる小説である。

その最後についてどう思うか、犯人についてどう思うか、この捉え方ことそう読者の自由であり醍醐味である。

読み終わって面白かったと言える作品であった。

ぜひ時間がある方はいちど読んでみたらいかがかと思う。

あなたにはどんな1行が届き、どんな言葉が残りましたか?


「ハヤクボクヲミツケテ」女子中学生を誘拐した謎の犯罪者“ゲームマスター”が課した“ゲーム”に失敗、被害者を死なせてしまったことで、警視庁特殊班の刑事上原真悟は職も家族も失った。それから四年、再びゲームマスターを名乗る誘拐犯が現われる。被害者は女子高校生、身代金は五千万円、警察への通報も指示されたという。そして要求はもう一つ、交渉役は上原真悟にすること―。「ずっと君とまたゲームがしたかったんだよ」と嘯く犯人に、真悟は失いかけていた刑事魂を燃えたぎらせるが…。

知念/実希人
1978年、沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒。2011年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞。翌年、受賞作を改題した『誰がための刃レゾンデートル』でデビュー


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